近年、新規参入で注目を集めるビジネスの一つに、再生医療等製品の製造や品質管理を支える周辺産業(以下、「再生医療等製品周辺産業」という)が挙げられる。今回のコラムでは、「再生医療等製品周辺産業とは何か?」また「どのような企業が再生医療等製品周辺産業への新規参入に向いているのか?」について考えてみたい。
目次
再生医療等製品とは?
先ず、再生医療等製品の定義だが、薬機法でヒト細胞や動物細胞を加工した製品及び遺伝子治療用製品とされている。ヒト細胞の種類には、体細胞のほか、体性幹細胞(造血幹細胞や神経幹細胞、間葉系幹細胞など)や胚性幹細胞(ES細胞)そして人工多能性幹細胞(iPS細胞)が含まれている。
再生医療等製品周辺ビジネスの具体例
再生医療等製品、つまり加工された細胞(ヒト細胞加工製品)の製造や品質管理を支えるのが再生医療等製品周辺産業である。細胞加工製品の製造や品質管理に用いられる製品には、ライフサイエンス研究開発の現場で使用されている設備・機器・培地・試薬などの製品や受託サービスなどが含まれている。以下は代表的な細胞解析製品の事例である。
- セルソーター・フローサイトメーター
- 自動培養装置
- 細胞培養試薬
- セルカウンター・生死細胞率測定装置
- 細胞培養スキャフォールド(足場材料)
- バイオ3Dプリンター
- 質量分析装置
- 細胞イメージング装置/シングルセル解析装置
- 次世代DNAシーケンサー(NGS)
- デジタルPCR
- リキッドハンドリング装置
参考:ライフサイエンス研究機器・試薬のバーチャル展示会 – バイオマーケットjp
再生医療等製品の製造や品質管理における課題
再生医療等製品(ヒト細胞加工製品)には品質や安全性の確保が求められてるるが、下記に代表される様々な課題が存在する。
- 細胞の大量培養技術の安定性およびコスト
- 細胞の分化誘導における信頼性
- 細胞の加工技術の精度
- 細胞の品質管理の精度
- 細胞の保存における安定性の維持
これら再生医療等製品の製造や品質管理における課題に対し、様々なライフサイエンス基盤技術(研究機器や試薬)が開発中であり、再生医療ビジネスを加速することが期待されている。
再生医療等製品周辺産業への新規参入に向く企業とは?
再生医療等製品周辺産業は、計測科学や精密機械技術などが融合したハイテク産業であると言える。米国ライフサイエンス企業などが中心となり市場が形成されつつあるが、日本のものづくりの力を活用できる場であることから、応用可能なコア技術を保有する製造業(化学メーカー、素材メーカー、機械メーカーなど)にチャンスがあると言えるだろう。
ライフサイエンス事業におけるコア技術の評価手法について
自社コア技術を用いてライフサイエンス産業に新規参入する際に、BioSurvey(バイオサーベイ)バイオ・ライフサイエンス市場調査を用いた需要性調査をお勧めしたい。BioSurvey(バイオサーベイ)は第一線で活躍するバイオ・ライフサイエンス研究者 約3800名(2020年10月 時点)をパネルとしたサーベイサービスだ。クライアントの社名は伏せてサーベイを実施するので、秘密性が高い新規参入プロジェクトや新製品のプロトタイプ評価等にも適している。
まとめ
再生医療等製品周辺産業は計測科学や精密機械技術など日本のものづくりの力が活かせる分野であり、応用可能なコア技術を保有する製造業(化学メーカー、素材メーカー、機械メーカーなど)にチャンスがあると考えられる。